エスコートなどではなかったのだ。もし治安を理由にエスコートするというなら、バスターミナルで僕らは解放されたはずである。ここまで兵士がついてくるということは、それ以上の目的しか考えられなかった。しかしいったい彼らは、どんな目的のために監視をつづけるのか……考え込んでしまう。アメリカが強く主張し、国連が要求する核査察は、イランにとって入国する外国人すべてを監視しなければならないほどのことなのだろうか。いや、いまも内戦状態にある隣国イラクとの関係だろうか。
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僕らなどとるに足らない旅行者なのだが、彼らは必要以上に勘繰って神経質になっているのかもしれなかった。そしてそれを指示してしまうイランの政府は、どこか不可思議にも映るのである。兵士の監視はつづいていた。カメラマンがトイレから戻ってきた。「彼ら執拗ですよ。ふたりのうち、ひとりがついてきたんですけど、トイレの入口で待っているのかと思っていたら、なかまで入ってくるんです」「なかってドアの……」「いや、さすがにそれは。おしっこをするところの後ろで待ってるんです」僕らが監視されているのは事実だった。しかしレストランの隅で、銃を肩にかけながら立っているふたりの兵士は、どこか間抜けそうで、怖さというものがまったくなかった。彼らは上官にいわれるまま、見張っているだけのようだった。